CASE34:アイランド型キッチンで、料理を家族のまんなかに

【家族三人で料理ができるキッチンを目指して】

築18年のマンションにお住まいのRさんは、台湾国籍の三人家族。
以前、台湾のご友人の通訳として弊社によるリフォームの一部始終に立ち合い、その仕上がりとやり取りを信頼していただき、今回のご依頼となりました。

ご夫婦ともに料理好きなRさんですが、元々あったキッチンはリビングの隅に配置され、一人が作業するのがやっと。お子さんも合わせて家族三人でキッチンに立ちたいと、アイランド型キッチンへのリフォームを希望されました。

【BEFORE】ダークトーンも相まって、閉鎖的な印象

【AFTER】三人一緒でも余裕のスペースに

Rさんのお話を伺って、提案したのは、Ⅱ型キッチン。Ⅱ型とは、コンロとキャビネットが並列しているレイアウトのこと。2つのキャビネットによって、作業スペースを広くとれ、収納力もアップ。体の向きを変えるだけでコンロとシンクを行き来できるので、作業動線も短くできます。

今回は、シンク台の背面にも収納を設け、家族の誰かが料理をしている間に、ほかの家族がリビング側から配膳の準備をできるように、背の低いお子さんでもお手伝いがしやすくなりました。



【無垢の床で光と風を感じるリビングに】

【BEFORE】床材は部屋の雰囲気を大きく左右する

【AFTER】軽く広々とした印象に

もう一つオーダーいただいたのが、リビングダイニングから廊下へと続く床材を無垢のオーク材に変えること。前述のご友人が弊社で床を無垢材にリフォームし、その感触や心地よさをRさんご自身が体感して「ぜひうちでも」と思ったそう。
以前の床はマンションによくある合板の防音フローリングで、お部屋全体のトーンを暗くしていました。明るい木肌の無垢材に変えることで、光と風を感じるような居心地のいいリビングになりました。

じつは、この無垢材にはもう一つの効果が。
アイランドキッチンにリフォームする際、問題となったのが既存の床暖房の配置でした。床暖房を活かすとなると、どうしてもキッチンの配置の選択肢が狭まり、理想の「家族みんなで立てるキッチン」は叶わない事態に。理想のキッチンを取るか、床暖房を取るか‥‥。そのとき、夢を後押ししてくれたのが無垢材の「蓄熱性」だったのです。
無垢材は天然の木で作られているため、呼吸をします。暖房や窓から入った日差しの熱を吸収し、蓄えるため、素足で歩いてもひんやりしない体感温度を保つのです。Rさんは床暖房をやめ、夢のキッチンを叶えることができました。

ちなみに、キッチン周りの床はタイルを使用。無垢材の弱点として、水に弱いということが挙げられますが、水回りの床を意匠性の高い本物のタイルにすることで、耐水性や防汚性をアップし、住まいの印象も一段グレードアップさせています。

本物志向のRさんは、コンロ側の壁にもタイルを使用。そのこだわりに応えるため、コンロ側と冷蔵庫上の吊戸棚は、キッチンメーカーからコンロ台と同じ面材を取り寄せ、造作しました。

小さな工夫としては、以前は壁から出っ張る形であった物入を、壁とならしたオープンラックにし、動線を広くしました。ちょっとした飾り棚としても使え、隠すところは隠す、見せるところは見せる、とヌケ感のあるお部屋の演出にも役立っています。

そのほか、コンロ側カウンター下のゴミ箱が隠せるスペースやタッチレス水栓など、機能性も◎。

撮影が終了する頃にはちょうどお昼時。おもむろに料理本を取り出し、料理を始めるご家族。お店で出てくるような本格的なイタリア料理を家族で和気あいあいと作っていました。

ご家族の笑顔のお手伝いができたことを、私たちもとても嬉しく思います。
その後、無垢材の床にすっかり魅了されたRさん家族。次はリビング隣接の和室にも無垢材にしたいとご依頼をいただいています。


text / Mayuko Kiyoshi

工事前写真

現況平面図

プラン平面図

事例DATA

  • 所在地:東京都品川区
  • 建物の種類:マンション
  • 築年数:築18年
  • 施工期間:1ヶ月
  • 施工面積:42㎡
  • 費用:500万円