木を使う私たちだから、木を、森を守る活動を

あかね材の活用と

植林活動

無垢材をご提案する日々の中で、『木を切って使う』だけでいいのだろうか。
子どもたちが大人になる頃には、自然素材で家を作れなくなるのでは。と、不安を感じていました。

その様に感じる理由は、ひとつではありません。
建築業と同じく林業においても後継者が不足していること、輸入の無垢フローリングが主体であることや、海外での需要増加に伴い輸入量が変動し始めたこと、さらにコロナ禍で供給が不安定になったことなどがあります。

そのような中、林業に携わる人口が減り、森林が荒れ果てているというニュースを度々耳にしていました。
気に留まりながらも『何も行動を起こさない』を続けてしまうのではなく、『小さいことでもできることをしよう』と、思わせてくれたきっかけがありました。

先日、個人的に熊野古道を訪れる機会に恵まれて、和歌山県田辺市・熊野の方々の森林に対する取り組みを拝見したことです。
自然を身近に感じられる熊野で、その素朴ながらも雄大な自然を前に、いま、自分にできることは何か?を問わずにはいられませんでした。
それが、あかね材の活用と植林活動です。

あかね材とは?

和歌山県で生産された木材を紀州材と言います。
県の面積の80%近くが森林という恵まれた環境で育った紀州材は、古くから良質な無垢材として高い価値がありました。

それが今では、林業従事者の減少に伴い森林が荒れて、本来伐採される時期を迎えた貴重な紀州材が放置され、手が入らなくなった森林には太陽光が当たらなくなり、健康な森林ではなくなるという悪循環が生まれてしまいました。
その結果、紀州材に『スギノアカネトラカミキリ』という木を食べる虫が発生してしまう問題を抱えています。

この食害にあった木を『あかね材』と呼んでいます。

本来、非常に価値のある無垢材が放置されたり、虫食いの痕があるというだけで価値のないもののように評されてしまうなんて、そんなもったいない、悲しいことはありません。

『スギノアカネトラカミキリ』は、春から初夏にかけてスギやヒノキを食べた後、次の春には木から飛び立ち、いなくなります。
そのあかね材は、強度や耐久性には問題がないという試験結果が出ているので、他の紀州材と何も変わりありません。(和歌山県林業試験場データによる)
食べられた痕は、木目の違いや色の濃淡などと同様、木の持つ個性。
人もひとりひとり違うように、木にも個性があるのです。

無垢材を扱う私たちが、価値のある無垢材を価値のあるものとして扱えないのでは、意味がありません。

熊野では、そんな紀州材であるあかね材を逆転の発想でデザインに採り入れ、ありのままの素材の良さを活かすことで、地域の山や資源を守る活動をしているBoku Moku(ボクモク:素朴な木)というプロダクトグループがあります。

湘南リフォームでは、Boku Mokuと連携して関東でもあかね材を広めることで、熊野の、紀州の、そして日本の貴重な木材資源をムダにすることなく、これからも長きに渡り、森林環境を守る一端になれればと思っています。

そして、あかね材をご採用してくださるお客様も、一緒に山を守ってくれることになります。

どんぐりを育てて、

植林しよう

林業従事者の減少による森林環境の悪化は、人里や住宅地での獣害被害や、土砂災害にも関連しています。
森が荒れるから動物の食べ物が育たなくなり、人里まで下りてこなければならなくなる。

伐採された後そのまま放置される森林が増え、土砂が流出しやすくなったり、森林の保水力が落ちて、土砂災害が増える。

実は獣害でも自然災害でもなく、人が招いている害と言えるかもしれません。

そんな森林環境を変えようと、Boku Mokuが取り組んでいる一つに植林活動があります。

その活動は、非常に個性的です。
熊野で拾ったどんぐりを育てて、苗にするところからスタートします。
苗が植えられるようになるまで3年程度かかるそうですが、熊野では育てる活動がとても広がっていて、駅の近くの商店街にもどんぐりの育苗をしているお店を見かけました。

実際、私も熊野からどんぐりを拾ってきて植えています。
芽吹きの春に無事に芽が出てくれることを祈りながら、3年後に自分が育てた苗を熊野に植林できることを楽しみにしています。

Boku Mokuでは、植林活動に参加させてもらえます。
熊野を訪れ、熊野の木・紀州材を一緒に育ててみませんか?